粉ミルクと母乳保育での赤ちゃんの腸内環境と疾患率の違い

身体調節、ボディワーク




もうすっかり市民権を得た粉ミルク。

母乳がでないお母さんにとって粉ミルクはありがたいモノですが、粉ミルクのみで育てた赤ちゃんと母乳のみで育てた赤ちゃんに健康上の違いがあるとい研究がありますので、まとめてみました。

粉ミルクのみで育った赤ちゃんは、母乳育児より胃腸感染症リスクが3倍、皮膚炎、喘息が2倍に

「粉ミルク 成分」をグーグルで検索してみました。

各社が出している粉ミルクの成分は、炭水化物、タンパク質、脂質、カロリー、ビタミン、カルシウムなど母乳とほぼ同じ数字が並びます。

  母乳 A社 B社 C社
カロリー kcal 65.0 68.3 66.9 67.3
タンパク質 g 1.1 1.5 1.5 1.5
脂質 g 3.5 3.6 3.6 3.6
炭水化物 g 7.2 7.7 7.2 7.2
ビタミンA μg 46.0 52.6 58.5 54.6
ビタミンC mg 5.0 9.4 7.8 7.8
カルシウム mg 27.0 51.3 45.5 49.4
マグネシウム mg 3.0 5.4 4.8 5.2
オリゴ糖 mg 500 2000 2000 2500

同じというよりビタミンやミネラルは母乳より多く含んでおり、「母乳より栄養満点な粉ミルクをどうぞ選んでください。」という感じです。

しかし母乳のみで育ったあかちゃんと粉ミルクのみで育った赤ちゃんでは、以下のような疾患リスクの違いがあるという報告があります。

母乳だけの赤ん坊に比べ粉ミルクだけの赤ん坊は

●耳感染症になるリスクが2倍

●呼吸器感染症で入院するリスクが4倍

●胃腸感染症になるリスクが3倍

●壊死性腸炎になるリスクが2.5倍

●乳幼児突然死症候群で死亡するリスクが2倍

●皮膚炎と喘息が2倍

●一型糖尿病にもなりやすい

あなたの体は9割が細菌 / アランナ・コリン

うーん、成分的にはほぼ同じなのにすごい差ですね。

粉ミルク育児の子どもは、大人になってから60%も糖尿病になりやすい

また粉ミルクで育った赤ちゃんは、母乳育児で育った赤ちゃんに比べて2倍ほど過体重になりやすく、これは10代後半や成人になってからの体重にも影響するそうです。

母乳育児(容量)と肥満リスクの予防(効果)については用量依存性が認められた。

ある研究によると、生後9ヶ月を上限に、母乳育児を続ける期間を一か月ずつ伸ばすと、子供が過体重になるリスクは一か月につき約4%ずつ下がった。

生後2ヶ月まで母乳だけで育てると8%のリスク減、3ヶ月続けると12%のリスク減だ。

9ヶ月の間母乳育児を続けると、生後すぐに粉ミルク育児を開始した場合に比べて過体重リスクは30%も下がる。

粉ミルクによる補充を一切しない完全な母乳育児だと効果を最も大きく、過体重リスクは一か月延ばすごとに6%ずつ減少した。~中略~

粉ミルクだけで育った子どもは大人になってから60%も多く糖尿病を発症する。

肥満はガンやアレルギー、ADHDなどと同じく、現代社会に増えている疾患ですね。

肥満になりやすいかどうかが赤ちゃんのときにとった粉ミルクと関係があるとは驚きですね。

母乳や粉ミルクは赤ちゃんの腸内環境を変え、これが疾患リスクを決める

粉ミルクで育てられる赤ちゃんの腸内細菌は、母乳育児の場合と比べて細菌の種類が多いようです。

粉ミルク育児では、赤ちゃんの腸内に雑菌が増えるんですね。

そしてこの腸内細菌の多様性が、赤ちゃんの疾患リスクを決めています。

母乳をまったく与えられていない赤ん坊の腸に住む微生物は種類が50%ほど多い。

とくに多いのは、ペプトストレプトコッカセア科の細菌で、そこには厄介な病原菌であるクロストリジウム・ディフィシルも含まれる。

母乳のみの赤ん坊で5人に1人しかクロストリジウム・ディフィシルを保有していないが、粉ミルクのみの赤ん坊では5人に4人が保有している。~中略~

母乳と粉ミルクを組み合わせる育児をすると、それだけでクロストリジウム・ディフィシルを含む不必要な細菌が加わる。

母乳と粉ミルクを半々で与えられる赤ん坊の赤ん坊のマイクロバイオータの組成は、母乳だけの赤ん坊の場合と粉ミルクだけの赤ん坊の中間のようになる。

※クロストリジウム・ディフィシルが優勢になると難治性の下痢を引き起こす

母乳のみの育児は困難だと思いますので、母乳+粉ミルクで育てた赤ちゃんの腸内細菌が、粉ミルクだけ、母乳だけの細菌群の中間になるのは救われますね。

大人であれば腸内細菌の多様性が多い方が健康ですが、赤ん坊の場合は逆のようです。

まだ免疫ができていない赤ちゃんには、選び抜かれた微生物種とそのエサとなる母乳成分が重要なようです。

母乳と粉ミルクの2つの大きな違い

それではいまから母乳と粉ミルクの大きな違いを見ていきましょう。

1、母乳には130種類ものオリゴ糖が含まれる

母乳には、タンパク質、脂質、炭水化物などのほかに、オリゴ糖も含まれています。

粉ミルクにもオリゴ糖は含まれていますが、科学的に生成するためそれはおそらく数種類になるでしょう。

いっぽう母乳に含まれるオリゴ糖は130種類以上です。

母乳はここまで多種多様なオリゴ糖を含んでいますが、これを赤ちゃんは消化できません。

オリゴ糖は人間のエサではなく、腸内にいるビフィズス菌のエサになるのです。

ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム)のエサとなり雑菌の繁殖を抑え、免疫系を発達させる

腸内にいるビフィズス菌(ビフィドバクテリウム)は、オリゴ糖を食料源にしています。

ビフィズス菌がオリゴ糖を食べて、短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸塩)を生成します。

これら短鎖脂肪酸は腸内での抗生物質となり、ほかの雑菌の増殖を抑制します

また短鎖脂肪酸の乳酸は大腸の細胞に吸収され、免疫系の発達に重要な役割を果たします。

病原性細菌が腸内に住みつくことを防ぐ

赤ん坊の腸内細菌はとても単純で不安定で、特定の細菌がいきなり増えたかと思うと忽然と消えたりします。

肺炎連鎖球菌のような病原性の細菌がひとつ入ってきただけで大混乱を起こし、多くの有益な細菌が破壊されることもあるそうです。

病原性細菌は何らかの破壊行為をする前に、まず腸壁に付着する。そのためには細菌表面にある特別な穴を結合部を使わなくてはならない。

オリゴ糖はその結合部にぴったりはまって、病原性細菌が足場を築くのを阻止する。

母乳に含まれる130種類のオリゴ糖のうち、数十種類は特定の病原体に鍵と鍵穴のように結合することが分かっている。

あなたの体は9割が細菌 / アランナ・コリン

このように腸内環境を整備し免疫を発達させるオリゴ糖の含有量は、赤ちゃんの成長段階に応じて変わるようです。

●出産直後に出る初乳は、免疫細胞と抗体を多く含み、母乳1リットルあたりに小さじ4杯相当のオリゴ糖を含む

数週間経って赤ん坊のマイクロバイオータが安定してくる頃母乳の中のオリゴ糖含有量が減ってくる

●出産後4ヶ月になると1リットルあたり小さじ3倍未満

●子供が一歳の誕生日を迎えるころには小さじ一杯未満 

人間の自然の調節力に驚きますね。

2、母乳は発酵をうながす微生物の宝庫

母乳に含まれるオリゴ糖と腸内細菌の関係を先ほど見ていきましたが、母乳自体にももともと細菌が含まれているようです。

粉ミルクに細菌はいれられないので、母乳との最大の違いはこれかもしれません。

母乳には1mlあたり1000個もの菌が含まれていて、赤ちゃんは1日に80万個もの細菌を摂取しているそうです。

生後1日目に必要な微生物は、1ヶ月後、2ヶ月後、6ヶ月後に必要な微生物とは違う。

出産直後の数実に出る初乳には数百種の微生物が入っている。ラクトバチルス属、連鎖球菌属、エンテロコックス属、ブドウ球菌属の細菌はすべて含まれており、その数は1ml あたり1000固体にもなる。

赤ん坊は1日およそ80万個の細菌を母乳のみで摂取していることになる。

やがて母乳に含まれる微生物は数を減らしながら種類を変えていく。

出産から数ヶ月経った母乳には、成人の口内にいるのと同じ微生物が入っている。赤ん坊の離乳に備えてのことだろう。

これら母乳に含まれる細菌は母親の皮膚・乳房周辺にいるものではなく、膣や腸にいる乳酸菌などです。

つまりわざわざ腸から血液に取り込まれ、乳房まで運ばれたものなのです。

菌がモノを分解することを発酵や腐敗といい、人間に有用であれば発酵、害があればそれは腐敗したとよびます。

牛乳もそのまま常温で放置すれば雑菌が活動して腐りますが、乳酸菌を入れて温度管理をすると発酵してヨーグルトになります。

母乳に含まれる微生物は、人体にとって有効な微生物群で発酵を促進し、腸内環境を整え免疫を整備してくれます。

陣痛がシグナルとなって赤ちゃんの有用成分を母乳に運ぶ

そしてこの母乳にいる微生物ですが、出産方法の違いによって微生物の組成が変わるようです。

不思議なことに、出産方式によって母乳に含まれる微生物が変わる。

陣痛が始まる前に計画的な帝王切開で出産した女性の初乳に含まれる微生物は、経膣出産した女性のそれとかなり違う。その違いは少なくとも6ヶ月は続く。

しかし、陣痛が来たあと緊急の帝王切開を受けた女性では、経膣出産した女性と初乳の微生物が似ている。

陣痛中になにかが警告を発して、これから赤ん坊を外に出すことを免疫系に知らせ、胎盤ではなく母乳に栄養がいくよう指示しているようだ。

おそらく陣痛中に強力なホルモンがたくさん出て、微生物を腸から母乳に乳房に移動させているのだろう。

「陣痛がシグナルとなって母乳成分を変化させる」、重要だから覚えてくださいね。

つまり予定帝王切開で、陣痛なしの出産はNGに近いということです。

またしても自然であることの重要性がわかります。

それとオーガニックの粉ミルクで有名なのはHolleだと思いますが、どー考えても値段高いよね。

まとめ

●粉ミルクのみの育児は感染症や喘息、肥満などの疾患リスクを高める

●母乳は130種類以上のオリゴ糖と微生物を含み、赤ちゃんの腸内環境と免疫を整える

●粉ミルクと母乳育児を組み合わせると、腸内環境は粉ミルクだけ、母乳だけの中間のようになる

●陣痛がシグナルになり母乳成分を変化させるので、陣痛前の予定帝王切開はできるだけ避けたい

そしてここでもうひとつ重要情報です。

粉ミルクと母乳の違いのように、出産方法でも自然な経膣分娩と帝王切開があります。

もうみなさんお気づきだと思いますがこの出産方法の違い、つまり不自然な帝王切開は赤ちゃんの疾患リスクを高めます。

もう出産された方がこの記事を読んで不快感を抱かれるかもしれませんが、みなさんに知って頂きたいと私は考えますので以下リンクです。

帝王切開と自然分娩で生まれた赤ちゃんの腸内細菌と疾患率の違い

参考は以下の本「あなたの体は9割が細菌」です。細菌系ものではベスト3に入る本でした。オススメです。