こんにちはでございます。
今回は細菌の中のピロリ菌に光を当てます。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんはピロリ菌の感染が原因とされていて、胃がんになる確率はピロリ菌保菌者の方が20倍以上も上がるとも言われています。
よって堀江隆文さんなどは「ピロリ菌やばい」という本まで出版されピロリ菌検査と除菌活動をされています。
しかし私が以前「ヒトの遺伝子の99％は細菌由来。腸内細菌の5つ重要性と現代生活の問題点」や「帝王切開と自然分娩で生まれた赤ちゃんの腸内細菌と疾患率の違い」にまとめたように抗生物質による除菌は腸内細叢にダメージが大きく著しく多様性を失わせることや、自然分娩と帝王切開の違いからもわかるように自然に手を加えることに私は懐疑的です。
またピロリ菌の検査と除菌という、まだ病気を発症していないにも関わらず、その情報を知ってしまったためにお金を払って行動を起こす、まあ健康食品・漢方薬ビジネスと言えばいいのでしょうか、そういう市場も生まれて儲けている人もいるわけです。
ピロリ菌保菌者の方が胃がんになる確立は上がりますが、背骨を整えるとすべての疾患が回復すると信じている整体ををやっているものとしてはそれはどうでもいい話でして、以下のピロリ菌情報は私が本を読んでまとめたものになります。
どう考えて行動するかは、読者にお任せすることにしておきましょう。
ピロリ菌とは
ピロリ菌は基本的には人の胃からだけ発見される細菌です。
ピロリ菌は胃炎と胃潰瘍を引き起こす細菌として知られ、十億個もの菌が胃壁の厚い粘膜層の中に常在しています。
食物の消化と病原菌を追い払うために強い酸性である胃の中でピロリ菌が生きれるのは、１つは塩基性の物質を自分で作り胃酸を中和すること、もう１つは胃の粘膜の中に入り込むためです。
ピロリ菌は人間の胃の中に５万年以上も前から生息し、人類とともに移動してきました。
ピロリ菌の種類にはアフリカ型が２種、ユーラシア型が２種、東アジア型が１種あります。
世界中の人の約50％がヘリコバクター・ピロリ菌を胃の中に持っていると言われます。しかし近年は飲み水の塩素消毒などによって保菌者は減少しており、米国の子どもは10％以下に減っています。
ピロリ菌悪玉説
ピロリ菌も持っている人全員が胃の病気にかかるわけではありません。
病気を引きおこす原因になる物質はCagAタンパクを作る細胞毒関連遺伝子Aか、細胞空砲化毒素A（VacA）と名付けられたタンパク質です。
ピロリ菌が胃の粘膜に住み着き激しく活動すると、粘膜は胃をうまく保護できなくなります。
すると胃酸は食べ物だけでなく胃の細胞の一部も溶かしてしまいダメージを受けてしまします。
胃潰瘍の４分の３とすべての十二指腸潰瘍の原因はピロリ菌となります。そして抗生物質を飲んで菌を退治できれば、病気は完治します。
ピロリ菌保菌者ががんになる確率は1％です。ピロリ菌を持っていない人が胃がんになる確率は0.025％です。
ピロリ菌善玉説
胃酸や胃の内容物が逆流し食道まで上げることが胸焼けです。
こうした逆流が慢性化すると吐き気や嘔吐、胸の痛みとなり胃食道逆流症となります。
胃食道逆流症をそのまま放置すると食道腺がんを引き起こしますが、これはピロリ菌を持たない人の方が２倍発症率が高いようです。
また本より引用すると
1万人の被験者を12年間観察し続けたところ、危険なピロリ菌をもっている人は胃がんの発症率が高い一方で、肺がんや脳卒中にかかって死亡する確率が非常に低いという結果が出ました。
危険なピロリ菌種をもっていない被験者に比べると、肺がんや脳卒中の発生率が50％も低かったのです
おしゃべりな腸
また近代病である喘息ですがCagA陽性ピロリ菌保菌者の喘息発症率は、ピロリ菌陰性群より４割低い結果があります。
ピロリ菌が胃に付着すると制御性T細胞と呼ばれる免疫細胞が作られます。
制御性T細胞とは免疫システムの暴走を抑える働きをします。
花粉症は花粉という無害なものを免疫が過剰反応して引き起こされます。
こうした免疫の過剰反応を抑えるのが制御性T細胞です。
ピロリ菌保菌者は湿疹などのアレルギー性皮膚炎の発症率が非保菌者より33％以上も低いという研究データもあるようです。
まとめ
年をとればピロリ菌は胃がんや胃潰瘍のリスクを上昇させます。
一方でそれは胃食道逆流症を抑制し、結果として食道がんの発症を予防します。
なんとも悩ましいピロリ菌ですが病気を発症させないためには、昔ながらの自然な食生活や散歩などの運動などの免疫力を高める生活が大切ではないでしょうか。
参考文献
失われてゆく、我々の内なる細菌 マーティン・J・ブレイザー
おしゃべりな腸 ジュリア・エンダース
発酵の技法 Sandor Ellix Katz
名前：峰嶋 くじら 1980年生まれ
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