ユングは神の名を元型と呼ぶ、カール・グスタフ・ユングのホロスコープ読み

ホロスコープ読み

今回は精神科医のカール・グスタフ・ユングのホロスコープを読んでみたいと思います。

ユングの自伝1、2を読んで、そこからの引用多数です。

ユングのホロスコープをチラ見して、最初に思ったのは可哀想。

これじゃ普通の生活なんて送れないじゃないかというものです。

しかも現在の情報爆発ネット社会以前の、しかも父親が牧師でキリスト教という唯一の神様を信仰する家庭に生まれております。

そんな環境の中でユングは、幼少の頃から時代やキリストという神に治まりきらない夢の中での体験をしていきます。

その葛藤がユングをユングたらしめるものにしていきます。

カール・グスタフ・ユングのホロスコープ読み

まずはカール・グスタフ・ユングの紹介と宗教観などを少し。

グノーシス主義や道教も研究した異端者ユング

ユングは、スイスでプロテスタント牧師の家系に生まれています。

宗教に私はあまり詳しくないのでザックリ書きますが、キリスト教(プロテスタント)には原罪があります。

一神教では神様が主人で人間はしもべ、人間は罪を背負ったマイナスの存在なので神を信仰し救いを求めます。

キリスト教では最後の審判があり、最後の審判のとき人間はひとりひとりゴッドの前に立って自分の罪について説明しなければならないのです。

神と人が1対1で対峙していて、この神から離反することは原罪から解放される手段がないことになります。

またキリスト教徒が守らねばならないのは聖書の教えですが、教義が完成しないうちにイエスは死んだ?復活した?ので、教義の解釈はキリスト教の最高意思決定機関、公会議によって決定されます。

聖書の解釈が違ったり、神学の食い違いが起こった場合は、時間をかけて徹底的に議論し、それでも溝が埋まらない場合には異端を宣告して少数派を追い払ってしまう。

正統と異端が決まるのです。

そこでユング(1875年7月26日~1961年6月6日)ですが、グノーシス主義や道教、曼荼羅などに興味を持ち研究したので、まさに異端児であります。

時代が違えば魔女狩りにあってもおかしくない。

ユングが考えた集合的無意識や元型は、キリスト教ではおさまりきれなかった彼独自の神の名前なのです。

いっぽう日本のような多神教世界では、神様と人間は友達みたいなものですね。

日本の父である神道(神社)には、なんせ経典もありません。

従い方がわからない宗教ってかなりすごいと思う。

論理的に正統と異端を決めてきた西洋社会に、経典がない日本人が弁論で勝つはずがないですね。

そして日本の母は仏教でこっちに経典はあるんですが、その数が無数なのです。

正統に一本化することなく、どんどん枝分かれしていき共存していく。

トイレの神様や竈の神様、どんな神様だって信仰できる日本社会ではジキルとハイドのような二重人格的な人は生まれにくいと思います。

全知全能の神がただ一人いるという一神教の抑圧感がハイドを生み、ユングのハイドがグノーシス主義や錬金術に興味を持たせたのです。

このような宗教観や時代背景を知ると、ニーチェが「ツァラトゥストラはこう言った」の中で語る”神は死んだ”という言葉の意味もわかってきますね。

ユングのホロスコープ

次にユングのホロスコープです。

1875年7月26日、19時29分、スイス生まれで、海外のサイトから引っ張ったので時間、ハウスも合ってると思います。

 

月、太陽、土星の中心天体にトランスサタニアンがすべてスクエアで絡み、休まる暇がない

ユングが時代に治まりきれなく異端者になった理由は、中心の天体である月、太陽、土星にトランスサタニアンがすべてスクエアで絡んでいるからです。

●月(牡牛16度)と天王星(獅子座15度)スクエアー独自行動、自営業的、周りに染まらない

●太陽(獅子座3度18)と海王星(牡牛座3度2)のスクエアー王道のオカルトアスペクト

●土星(水瓶座25度)と冥王星(獅子座24度)のスクエアー挫折、限界突破

これだけ中心天体がトランスサタニアンとスクエアだと、知らず知らずのうちに人生が普通科コースから脱線、なんで私はこんなにみんなと違うんだろうと思うようになっていくはずです。

私たちから見たらユングの人生は、毎日震度2、3で揺れ続けている人生で安眠できないように感じる。(しかし本人からしたら水の上に家を建て揺れているのが通常状態なので、何とも思っていないでしょう。)

しかもですね、上にあげたアスペクトなんですが、すべて誤差1度、タイトで影響力が強いんです。タイトなアスペクトの影響力の強さは、ラッドの野田さんチャネラーのホロスコープで書いてます。

実際ユング自伝を読むと、一生涯ずっと心を奪われる夢を3歳のときに見たとあります。

それは牧場に穴があり、その内部の長方形の部屋には黄金の玉座がある。そこに4~5mほどの皮と裸の肉でできた木のような、頭のてっぺんに目がひとつあるような丸いものがじっと上を見つめている。

このファルロスとユングが名づけた夢は、数年間つきまとい、特に誰かが主イエスについてあまり強調して話すときにはいつでも繰り返し現れたとあります。

なので幼少の頃よりユングは、主イエスを受け入れることも愛し尽くすこともできなかったと述べます。

これを牧師の父やキリスト教を信じる周りの人とは共有できませんので、ユングは65歳までファルロスの夢について語ったことがなく、この厳しいタブー感、重圧感は土星と冥王星のスクエアを感じさせます。

ユングはこの内的なデーモンを抱え込むしかなくなく、ユング独自の神、集団無意識や元型として落とし込むことになります。

煉瓦を地震で壊して遊ぶ牡牛座の月に獅子座天王星のスクエア

月は幼少時代を表し、自分の感性の内側にこもって遊ぶ牡牛座の月に獅子座天王星のスクエアがよく表れている一文を発見しました。

ーーーー引用開始ーーーーーー

 私は一人ぼっちで、自分流の仕方で遊んでいた。私はただ、邪魔されたくなかったことだけ覚えている。

私はゲームに熱中し、その間に見守られたり、判定されたりするのに耐えられなかった。

ゲームについての私の最初の具体的な記憶は、7、8歳の頃に始まる。

私は煉瓦で遊ぶのがとても好きで、塔を立て、それから有頂天になって「地震」で壊した。

8歳から11歳の間にはたえまなく、戦争の絵、城攻め、砲撃、海軍の交戦などを書いていた。

ーーーー引用終わりーーーーーー

地震や物を壊すのはもちろん獅子座天王星のスクエアですね。

これをユングは強い感受性と傷つきやすさに関連し、また幼少時代の孤独感と関連していたと述べています。

また数学と図画での挫折の他に体操が嫌いだった、他人が動き方を教えてくれるのに耐えれなかったともあり、これも牡牛座月と天王星スクエア関連でしょう。  

幻想の世界の美しさや感情の強烈さに酔いしれる太陽と海王星のスクエア

太陽と海王星のスクエアは王道のオカルトです、って言えばそれは簡単です。

それが本当はどういう世界かを、またユング自身に語っていただきましょう。

ユングは1944年の初めに心筋梗塞に続いて足を骨折し、意識喪失の中でせん妄状態になり様々なビジョンを見たと書いています。

そのビジョン体験により感じたことが、 

ーーーー引用開始ーーーーーー

これらの経験はすべて荘厳であった。

夜ごとに私は至福状態に漂い、「森羅万象の心像に、とり囲まれていた」。その主題は次第に混じり合って、薄れていった。

ふつうこの幻像は約1時間続き、それから再び眠りに入るのであった。

そしてまた灰色の朝がやってきて、小箱組織の灰色の世界があらわれたと感じた。

なんと愚かで、馬鹿げたことなのだろう。

かの内的状態があまりにも夢幻的に美しかっただけに、それとひきくらべこの世界は、あまりにも愚かであった。

この世界での生活に、再び近づくにつれ、かの内的状態はますます淡くなってゆき、幻像を見始めたときから3週間を経て、ようやく内的状態は完全に消え去った。

これらの幻像が現れている間は、その美しさや感情の強烈さを言い表すことができなかった。

それらは、私の今までに経験した事柄の中で、最も凄まじい出来事であった。

昼の世界はそれとは対照的に異なっており、昼間、私は地獄の責め苦を受け、神経を完全にすり減らした 。 すべてのものが私を苛立たせた。

すべては、あまりにも物質的であり、あまりにも粗野、鈍重で、空間的にも精神的にも拘束されていた。見透すことができないために、すべてのものは束縛されており、しかも、私にははっきりと、すべては空虚であることが分かっていたのだが、ある種の催眠術的な力によって、まるでそれが現実そのもののように見えた。

私はもとの自分自身に回復してきたという、この世界への信頼を抱いたのに、この生命は、予め準備された3次元の箱のような宇宙の中で演技している、実存の断片に過ぎないという印象を、取り除くことができなかった。

ーーーー引用終わりーーーーーー

もう現実が嘘であって、内的体験が真実であると言ってますね。

自伝についての執筆に際しても、

ーーーー引用開始ーーーーーーー

結局、私の一生の中で話す値打ちのある出来事は、不滅の世界がこの束の間の世界へ侵入したことである。

そしてそれが、私が夢やビジョンを含んだ内的体験を主にお話しする理由である。

これらは同時に私の科学的な仕事の第一の素材になっている。

それは研究されなければならぬ石が、それから結晶していく灼けつくような岩だったのである。

この内的な出来事にくらべると、旅や人々や私の周囲についての他のあらゆる記憶は色あせてしまった。

ーーーー引用終わりーーーーーー

だそうです。私も太陽12ハウスで引きこもり、瞑想中に見た光る草、クサですよ、がこの世で最も美しかったものですので、ユングに共感するものがあります。

そしてこの病気のビジョン体験後が、ユングにとって仕事上最も実り豊かで、主要な著作の多くを生んだそうです。

牡牛座4度の海王星のガイド、フィレモン

ユングの内面にはまた、非物質的存在、ガイドやハイヤーセルフと呼ばれるものが現れたりもしています。

ーーーー引用開始ーーーーーー

この空想のすぐ後で、他の像が無意識から生じてきた。彼はエリヤの像から発展してきた。

私は彼をフィレモンと呼んだ。

フィレモンは異教徒で、グノシズム的な色合いをしたエジプト・ヘレニズム的な雰囲気を持っていた。

その像は次の夢の中で初めて私の前に現れた。

青い空であった。それは海のようで、雲で覆われているのではなく、平たい茶色の土くれで覆われていた。それはまるで土くれが割れて、海の青い水がそれらの間から現れてきつつあるかのように見えた。

しかし、その水は青い空であった。

突然、右側から翼を持った生物が空を横切って滑走してきた。

それは牡牛の角をつけたひとりの老人であるのを私は見た。

彼は一束の四つの鍵を持っており、そのうちのひとつを、あたかも彼が今、錠を開けようとしているかのように握っていた。

彼はカワセミのような、特徴的な色をした翼を持っていた。ー中略ー

フィレモンは私自身のものではないひとつの力を表していた。

私の空想の中で、私は彼と会話をした。そして、彼は私が意識的には思ってもみなかったことを述べた。

というのは、話をするのは私ではなく彼であることを私ははっきりと観察したからである。

ーーーー引用終わりーーーーーー

ガイドと思わしきフィレモンに牡牛の角があるというのが、太陽にスクエアで絡むそのまんま牡牛座の海王星かと思われて面白い。

ユングのような内面の非日常性、異常性、これを私は異物を食べると表現するのですが、こんように現実離れした異物を食べないと、新理論、つまり一般常識からはみ出たモノを生み出すことはできないと思うので、羨ましくあります。

蟹座14度の水星と天秤座24度の木星という二つの深淵の穴ぼこ度数

さらにユングのホロスコープを見ていくと、どんだけーー感が増していく。

12サインの中に深淵の穴ぼこがいくつかあると思いますが、水星のある蟹座14度の「とても年とった男が、広大な暗やみの空間に直面し、北東の方向を見ている」が穴ぼこ度数。

風水で北東は鬼門を表す方角で、蟹座14度は内面に深く深く潜伏していった結果、そこには何も無かったというような虚のような度数なのです。

水星期の12歳のとき、ユングは帰り道で少年から背中を押され頭を打ち、その後発作を起こすようになったとあります。

その期間を表す文を引用すると、

ーーーー引用開始ーーーーーー

それ以来、学校の帰り道とか、両親が宿題をさせようとするときはいつでも、発作を起こすようになったのである。

半年以上もの間、私は学校を休んだが、それは私には一種のピクニックだった。

私は自由で、数時間もの間、夢想にふけることもできたし、森の中や川のほとりや谷間など好きなところへはどこへでも行けた。

私は、戦闘の絵や、戦争、襲撃され焼き払われている古城の凄まじい光景を再び書き始め、あるいは幾ページもマンガを書いたりした。

同じようなマンガが、今日までずっと、眠りにつく前に時折浮かんでくる。たえず動き回り変化する仮面が歯を見せてにっこりと笑いながら現れてき、その中にその後すぐに死んだ人の親しみ深い顔があるのである。

なかでも、私は、神秘の世界に没頭することができた。

その領域には木、水溜たまり、沼、石、動物、父の書斎などが属していた。私はますます世間から離れていったが、その間ずっとかすかな良心の呵責に責められた。私はぶらぶらしたり、物を集めたり、本を読んだり、遊んだりして、つまらないことに時間を費やして過ごした。

けれども、私はそれを少しも幸せには感じなかった。私は自分が、私自身から逃げていると漠然と感じだしていた。

ーーーー引用終わりーーーーーー

学校を休むことが一種のピクニックと書きながら、自由に空想にふけり遊ぶことに空虚感を感じるという、これが蟹座14度をよく表している気がします。

マンガを書いたりは水星に重なるデコレーションの金星でしょう。

そして社会天体である木星と火星、土星は男性サインで綺麗な小三角を作りっています。

その内のひとつ木星のある天秤座24度の「蝶の左側にある3番目の羽」がまたまた穴ぼこなのです。(これと対向の牡羊座24度の「開かれた窓とコルヌコピアのように揺れるカーテン」も同じく穴ぼこ)。

天秤座なので自我に侵入される、巻き込まれる系の穴ぼこ度数で、これが8ハウス、きっちり輪郭のあるものからの侵入、継承になる、つまりフィレモンなどのガイドになるのでしょうか。

これが水瓶座の普遍的知性、それもそのサインの結晶化と言われる25度の「右の羽がより完全に形成されている蝶」の土星とトライン。

蝶は魂の象徴ともされ、右は能動性、元型論などを完成させたユングにはピッタリの度数の土星のように思います。

いやー、ユングすごい。

激しいホロスコープだし、ホロスコープのまんまなユング。

これだけホロスコープ通りで後世に残る人生なら、やはりホロスコープが主人で私たちはこれに合わせた方が実りある人生になるのでは。

あなたは人生の3割がホロスコープ通りなので30点、7割合致してるので70点、100%シンクロなので自由人ですね的な。